本を読む人は読まない人より長生きする
本を読む人は読まない人より長生きすることが、2016年、米イェール大学が発表した研究結果で実証されました。
米イェール大学が発表した研究内容の詳細
50歳以上の3635人を1週間の平均読書時間で分け、12年にわたり追跡調査しました。対象者を「読書する人」と「読書しない人」のグループに分け、生存率が8割に低下するまでの期間を比較すると、「読書する人」は調査開始から108か月だったのに対し、「読書しない人」は85か月でした。その差は23か月で、本を読む人は、読まない人に比べて約2年間も長生きすることが分かったのです。また、週に3.5時間(1日約30分)まで本を読む人は読まない人に比べ、調査開始から12年後の死亡率が17%低く、それ以上に読書をする人は23%も低いことが明らかになりました。
さらに、2018年10月のNHKスペシャルのテーマは「健康寿命」でしたが、のべ41万人の高齢者のデータを元にAIが解析すると、健康寿命を延ばすには「運動よりも食事よりも読書が大事」と導き出されました。
「読書」と「健康寿命が長い」要因はかなり関係しあっていると言えそうです。
では、元々あまり本を読まない方や、最近本を読んでないと感じられる方が、どのくらいで、読書を日常の中に取り入れていけるものでしょうか? 読書をはじめとして、運動、自分の考え方をいい感じに変えていく・・・。いろいろ習慣化していきたいものはあると思うのですが、ロンドン大学の実験ではそれぞれ習慣化する期間は違うということです。
習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、読書を習慣にするには約1か月かかるということであり、いろんな習慣化までの期間として下記の表が目安になります。
行動に関わる習慣化 | 身体のリズムに関わる習慣化 | 思考に関わる習慣化 |
勉強、日記、読書など | 運動、早起き、禁煙など | ポジティブ思考 論理的思考 完璧主義の脱却など |
約1ヶ月 | 約3ヶ月 | 約6ヶ月 |
「読書療法」が英国政府に公認される
2013年6月には英国政府公認で、医師が精神疾患の患者に対して「薬」ではなく、「本」を処方するということが始まりました。
その英国で学生時代に出会い、ケンブリッジ大学を卒業したエラ・バーサードとスーザン・エルダキンは読書療法(Bibliotherapy)の道を切り開きました。そして2人は著書でこう言っています。
「文学愛好家は、意識してかどうかは別として、大昔から小説を軟膏のように使って傷をいやしてきた。だから、元気を回復させたいとか、不安定な感情をなんとかしたいと思うことがあれば、ぜひ小説を手に取ってほしい」と。
小説のあらすじがまるで魔法のような効果をあらわしたり、その文章のリズムがあなたの心を優しく鎮めたり、好奇心一杯の刺激をくれたりします。また自分自身と同じように大変な目にあっている登場人物の考え方やそこに向かう姿勢が、あなたにいい影響を与えることもあるでしょう。
読んでいる人を別の存在に移し替えて、世界を違った視点から眺めさせてくれる、それが小説の持つパワーです。本を読んでいる人がその本の世界に入り込んだとき、登場人物が触れるものに触れ、見聞きすることを見聞きし、その生き方、考え方の道を同じようにたどるのです。
アメリカの哲学者、心理学者であるウィリアム・ジェームズの言葉にこのようなものがあります。
心が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
Sow a though,reap an action.
Sow an acton,reap a habit.
Sow a habit,reap a character.
Sow a character,reap a destiniy.
これを先ほどの習慣化の表から考えてみると、本を読もうと心が動いて、実際に本を読むという行動を取ってから、それが習慣になるのに約1ヶ月かかり、本に影響を受けて、その人自身の考え方、思考がいい方向に変わっていくという人格の面までに至るには、約6ヶ月かかるということが示唆されます。
そして人格が変わったら、新しい運命が待っています。
フランスの小説家、アンドレ・ジッドはこう言っています。
「私にとって、ある作家の作品を読むことは、たんにその作家が書いていることを理解することではなく、一緒に旅に出るようなものだ」
さあ、どうでしょう、本の世界に入り込むという心が動く旅に出たら、きっと何かが変わる気がしませんか?
わたしたちと一緒にそんな旅に出かけましょう。